レンタルスペースでイベントを開く前に知っておきたい注意点と準備すべきこと
コラム
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2020年から2023年にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大によってイベントが中止・延期になるケースが多く見られました。今後も同様の事態が起こる可能性が考えられます。
本記事では、イベントが中止や延期となるパターンや法律上の払い戻し義務を紹介します。参加者に通知すべき情報や損害賠償の考え方、注意点などをしっかり確認して事業に活用しましょう。
目次
感染症の流行によってイベントが中止や延期になってしまうケースは、大きく分けると以下のとおりです。
・ イベント主催者による自主的な中止
・ 自粛要請に伴う中止
・ 緊急事態宣言によるイベント中止
このように、同じ感染症の影響によるイベントの中止や延期であっても、状況によって理由が異なります。イベントが中止になった理由は、払い戻しの必要性の有無にも影響があるのです。
それぞれのパターンをチェックしていきましょう。
国からの自粛要請や緊急事態宣言の影響による中止ではなく、イベントの出演者やスタッフが感染症に罹患してしまったり、関係者が体調不良や濃厚接触者になってしまったりする場合、自主的にイベントの中止や延期の判断をすることがあります。
コロナ禍では、通常のイベントよりも収容人数が減り、収入も減少してしまうため、十分な利益を得られない可能性があるほか、そもそも出演者が体調不良で出演できなくなり、イベントして成り立たないこともあるため、開催しても収益性が見込めない場合や社会的責任などを考慮して、自主的に中止や延期とするケースがありました。
ただし、イベントの主催者が自主的に中止するパターンでは、「中止による損失の責任を誰が負うのか」という点が問題になります。
政府や自治体からの自粛要請に伴う中止や延期もありえます。命令ではなく要請であるため、自粛要請があったからといってイベントが開催できないわけではありません。ただし、イベントの開催を強行した場合、社会的に非難されてしまう可能性があります。
そのため自粛要請されている期間は、イベントを中止にするケースが多いようでした。しかし、開催する選択肢も残るため、自粛要請に伴う中止でも責任の所在が問題になります。
政府が緊急事態宣言を発令したことによるイベント中止もありました。この場合、緊急事態であることを国家が宣言しているため、イベントの中止は不可抗力として扱われるパターンが多いです。
実際に新型コロナウイルスの影響によって、2020年5月4日には全都道府県を対象とした緊急事態宣言が発令されました。イベントの中止が相次いだことで、大きな経済的ダメージがあったといわれています。
感染症の流行にともなって自社が主催するイベントを中止する場合、法律上の払い戻し義務があるのかどうかが気になるところです。理由があって仕方なく中止したとしても、払い戻し義務が発生するケースもあります。
法律上の払い戻し義務の有無は、契約内容によって違いがあることに注意が必要です。払い戻しに関する条項が定められているのか、「履行不能」であるといえるかどうかなど、重要視されるポイントをチェックしていきましょう。
イベントの契約内容で払い戻しに関する条項が定められているのならば、基本的には当該条項に従った処理がなされます。ただし、契約で定めていた内容が実際の状況に該当するかどうかを確認することが大切です。
たとえば、「地震や津波等の天災、火災、洪水、疫病、ストライキまたは戦争、その他不可抗力に該当する場合、チケット代金の払い戻しはできない」といった免責条項が記載されているとします。このように、イベントの契約内容に疫病に関する免責条項がある場合でも、以下のような状況によっては、払い戻しに関する条項にあてはまるのかどうかが異なるため注意が必要です。
・ 疫病の罹患者数
・ 疫病の死亡率
・ 政府や地方自治体からの要請
・ 緊急事態宣言発令の有無
・ イベントの実施による感染拡大リスクの大小
イベントの契約で合意条項を設定していない場合もあります。また、規約への同意のプロセスが不十分である場合には、有効な合意が成立していないと考えられるでしょう。購入者に一方的に不利な内容の条項である場合にも、当該条項が無効となるケースもあります。
契約で合意条項がない場合は、原則として払い戻しが必要でしょう。しかし、イベント開催者の責めに帰することのできない事由で履行不能となったかどうかによっては、判断が分かれる可能性があります。
続いて、イベントを中止する場合に参加予定者に対して通知すべき情報と、そのときに注意すべきポイントをチェックしておきましょう。参加者に通知すべき情報には、「中止決定の事実」「払戻しの有無」「払戻しを行う場所や方法、期間、問い合わせ先」などがあります。また中止が決定したときは、参加予定者に対して早急に通知することが重要です。
それでは、参加者に通知すべき情報と注意点をそれぞれ詳しく解説します。
イベントを中止する場合に参加予定者に対して通知すべき情報は、大きく分けると以下のとおりです。
・ 中止決定の事実
・ 払戻しの有無
・ 払戻しを実施する場合には、対応する場所や方法、期間、問い合わせ先など
また、出演者やスタッフ、協賛企業などのイベント運営に関わる相手に対しても、イベントを中止する場合には情報を通知したり、協議したりすべきだといえます。
イベントの中止が決定した場合、参加者には早急に通知するように気をつけましょう。基本的には特約を事前に設けている場合が多いため、注意事項に以下のような記載があれば、交通費や宿泊代などの損害賠償請求につながることは少ないようです。
・ 公演中止となった場合、主催者はチケットの購入金額のみ払い戻します
・ 理由のいかんを問わず、旅費、通信費、その他入場券などの購入に際して支出した費用に
ついて、一切請求することはできません
しかし、参加者が被ることとなる損害の影響などに鑑みて、中止を決定した場合は早急に通知するのが賢明でしょう。
万が一イベントの開催が中止された場合には、それに伴って関係者への対応も考えなければなりません。たとえば、会場使用料の支払いが必要なのかどうか、イベント出演予定者やスタッフなどの関係者に対する損害賠償が必要になるのかどうかなどが心配になるものです。また、協賛企業への対応についても協議しなければならないでしょう。
イベントが中止になった場合に、出演を予定していた方や関係者に対する支払いや損害賠償はどうなるのか、どのように考えればいいのか、詳しくチェックしていきましょう。
会場使用料とは、施設事業者との契約によって支払うことになっている費用のことです。施設事業者に対して使用料を支払う必要があるかどうかは、施設事業者が主催者に対して会場の利用を可能にする義務を履行できているかどうかによって異なります。
民法第536条の規定では、「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。」と定められています。つまり、主催者と施設事業者のどちらの責任でもない理由によってイベントを中止せざるを得なくなった場合には、「会場の利用を可能にする義務」の履行ができていないため、イベントの主催者も「会場使用料を払う義務」を拒否できるのです。
ただし、感染症の流行による中止などで、「主催者の責に帰せられる」と判断される可能性もあります。
イベントが中止になった場合には、出演者やスタッフなど関係者へ支払う予定であった金額についても考えなければなりません。関係者との間で締結した契約を確認し、中止の場合の支払いが必要かどうか、支払う金額の範囲などの規定があれば、基本的にはその規定に従います。
また契約書がない場合などは、民法の原則に従って判断します。もしも緊急事態宣言や自粛要請が中止の原因となった場合は、出演料の支払い義務がなくなると考えていいでしょう。
ただし状況によっては、すでに支払ってしまった会場の使用料や関係者に対する出演料などの返還が難しいケースがあります。万が一の場合の損害に備えるため、イベント中止に対応できる保険の加入を検討しても良いでしょう。
感染症の流行に伴って、イベントの開催を延期する場合もあります。開催の中止ではなく延期する場合は、注意するべきポイントが異なるため気をつけましょう。
イベントの開催を延期する場合には、以下のポイントに注意すべきです。
・ 延期日の決定は、出演者や会場のスケジュールを考慮する
・ 延期日程をすみやかに参加者へ通知する
・ 延期日に参加できない参加者への返金を検討する
それぞれの注意点をチェックしておきましょう。
延期日は、イベントの出演者や会場のスケジュールを考慮したうえで決定します。イベントの延期は、対価の支払いにも関係するため注意が必要です。
延期となった場合には、出演者などとの契約で主催者による開催日の変更が可能かどうかを確認します。可能であれば当初の契約に基づく業務の提供を受け、そのまま対価を支払います。
会場のスケジュールを考慮する際、同じ会場で延期イベントを開催しようとしても、休日に実施予定だったイベントを同じように休日に行うことは困難です。なぜなら休日は平日よりも集客が見込め、会場の空きがない場合が多いためです。
ただし、開催地域やイベント会場によって予約の取りやすさは異なります。本来の開催日から近い日程ほど空きがない可能性が高いため、数カ月先の日程も候補に入れるとよいでしょう。
イベントを延期する場合も中止する場合と同様に、すみやかに参加者へ情報を通知しなければなりません。延期となった場合の日程をできるだけ早い段階で連絡しましょう。
イベントが中止や延期になった際に参加者がとくに困るのは、「イベントの変更情報をすぐに教えてもらえないこと」です。実際に当日のイベントが中止になり、参加者にその情報が届かないことで、知らずにイベント会場まで来てしまうケースがあります。
イベントの中止をすみやかに延期日程を告知することは、参加者がスケジュールを立てやすくなり、チケットの払い戻しを減らすことにも繋がります。
素早い通知だけではなく、参加者側のこまめな確認も大切です。さらに情報を上手く伝達するためには、より気づきやすくて届きやすい方法で告知することも重要だといえるでしょう。
「チケット for LINE Hybrid」では、参加者に情報を届けやすいLINEを活用しています。友達登録機能による普段の広告配信はもちろんのこと、このような緊急連絡にも活用できるため、ぜひ使ってみましょう。
延期日に参加できない方への対応の検討も必要です。たとえば、もともと休日に開催予定だったイベントを、会場の空きの都合によって平日に延期しなければならなくなった場合があります。開催日を休日から平日に延期した場合には、参加できないチケット購入者に対する返金対応がとくに必要であると考えられるでしょう。
また、特約に「一切返金しない」などの記載があるかどうかでも、参加者への返金の判断が異なるものです。とくに人気イベントの場合には、来場できない人が多数でてしまい、多くの空席ができてしまうことが予想されます。延期日に参加できない参加者への対応をしっかりと検討しておきましょう。
なお、協賛企業からの協賛金の取扱いも検討が必要ではあるものの、延期してもプロモーションにはあまり影響がないことが多いと考えられます。そのため、協賛金の返金は必要ないケースが多いでしょう。
イベントを開催する方法を異なる形態へ切り替える場合もあります。たとえば、オフラインイベントをオンライン配信型に変更する場合などです。チケットの払い戻しの必要性に関する判断は、当初に予定していたイベント参加契約における「債務の本旨に従った履行」に、変更したイベント開催の方法が認められるか否かがポイントとなります。
それでは、イベントの開催方法を変更する場合の注意点について、2つのポイントをチェックしておきましょう。
もともとの予定とは異なる形態で開催する場合、参加予定者へ参加料の返金をしなければならない可能性が高いと考えられます。オンラインによる開催となる場合に、とくに返金が必要になる可能性が高いイベントは、「スポーツイベント」や「文化イベント」などです。
返金の必要性は、当初のイベント参加契約における債務の本旨に従った履行だと認められるかどうかで異なります。出演者と同じ空間や時間を共有することに価値を感じる参加予定者が多いイベントかどうかを検討しましょう。
チケットを販売する際、契約内容に「やむをえない事由により、オンライン配信等に形態を変えて実施となる場合がある」と記載していた場合には、返金不要となることが多いでしょう。内容が同じで同等の価値があると感じてもらえることの多いセミナーなどであれば、返金不要である可能性が高いです。
また、別形態で開催することがやむを得ない事由にあたるのかどうかでも、返金の対応に違いがあります。
新型コロナウイルスをはじめとする感染症の流行など、理由があって仕方なく中止したとしても、払い戻し義務が発生するケースがあります。法律上の払い戻し義務の有無は、契約内容に払い戻しに関する条項があるか否かなどで違いがあることに注意が必要です。また、履行不能であるといえるかどうかなども重要視されます。
当記事で紹介したイベントを中止・延期する場合や、別形態で開催する場合のポイントなどを参考にして、実際のイベント開催に役立てましょう。
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